この中でベゾスは「他のネット小売りをはるかに上回る約3億ドル(約345億円)をウェブサイトとデザインの開発に投資」していると語っている。膨大な金額だ。ちなみに別記事にある楽天の売上は約456億円、ライブドアの売上は約309億円だから、それらの売上に匹敵する開発費ということになる(ちなみにアマゾンの日本での売上は推定800億円)。
これは、既にこのブログやメルマガで紹介した書籍「アマゾンの秘密──世界最大のネット書店はいかに日本で成功したか」でも書かれていたように、サイトを作ることが一つのプログラムの集合体として動いているアマゾンならではのこと。
それもトップダウンによる設計図ではなく、日々の顧客とのやりとりの中かから、何をどう改善していくのかが試行されているようなのだ。
さらに加えるなら、「Amazon Hacks 世界最大のショッピングサイト完全活用テクニック100選」に見られるように、アマゾンのプログラムは利用者にとっても、その技術的側面を理解していけば、きわめて有効なものになるということだ。私個人は残念ながら技術的スキルがないが、それらを活用して有用なソフトを提供してくれる人々にいつも感謝している。
グーグルやアマゾンを見ていると、最先端のプログラムを駆使しながら、さらにその上を目指していこうとする技術志向とビジネスが結びついていて、それが未来を切り開いていくようなワクワク感を覚える。
それに比べて日本のIT系と言われる企業は、楽天にしてもライブドアにしても、技術の先端で未来を開くというより、企業買収によってビジネス規模を拡大していく手法だ。
その原型はソフトバンクの孫正義氏のやり方にあるのではないかと思う。
つまり、彼らにとっては別にITじゃなくてもいいのであって、それがたまたま勢いのあるビジネス分野だったということだろう。
強いて技術志向の会社として面白味を感じさせてくれるのは「はてな」だが、これはグーグルやアマゾンのような大きなビジネスになることはないように思える。(それでも、これからどう大化けするのか密かに期待しているが。)
単純にアマゾンやグーグルを礼賛する気はない。
話題になった「EPIC2014」(日本語字幕付き)のようにグーグルとアマゾンだけがネットを支配するような近未来が訪れたら気味が悪い。そうはならないように、より先端的な技術に根ざしたライバルが登場して欲しいのだが。
とはいえ、現状では私にとってグーグルとアマゾンの存在しないインターネットなど全く魅力がない。